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【 VOL.5 】  自由である為の すさまじく過激な処世術  
     
 
 
孤独な闘い
 
自由である為の すさまじく過激な処世術
 

 小さな庭の片隅で、やたらとよく通る大声で鳴く主。 それが、たった一匹の雨蛙である事を実際にこの目で見た時には、思わずあきれ、笑い出してしまう。 本当にちっぽけな体なのに、やけに堂々とまっすぐ前を見て、何をそんなに叫んでいるんだろう。

 丸山健二著の「新.作庭記」は去年の5月に出版された。 この小説家の名前は知ってはいたが、何となく恐ろしげで何となく小難しげで、今まで近づかずにいた。しかし、その「作庭」という言葉と「庭作りの本にして芸術論」という文句に惹かれ、すぐに買い求め読んだ。 
 著者に対して私が読みもせず勝手に抱いていたイメージの半分は当たっていて、それはもう、怖かった!
 芸術家であると小声でしか言えないような私は、亀のように首、手足をすくめながら読み進んでゆくしかない程、バッサバッサと切られっぱなしである。モネのような不動の大家でさえ、真の芸術を追求せずに終わっていると上から下までまっぷたつの切られようだ。私など最後のページにたどり着くまでには、そこらじゅう切り取られたヘロヘロの肉塊だ。  庭作りへの凄まじい執着と闘いの姿を書いているが、それと重ねたり前後したりして「生きる姿勢」「芸術創造の姿勢」に対する思いが逃げる事なく、飾る事なく真正面から書かれている。 

 去年、初めてこの本を読んだ時、読み終えた私はズタボロに切られてしまった状態にかかわらず、不思議と目の前が明るくなり勇気が湧いてきた。  ここまで凄まじい程ひたむきに、一人闘っている芸術家がいるのだ。 私など、まだまだ、まだまだまだ、やってゆける。
 このころ、私は重く苦しく悩んでいた。

一年後、もう一度読んでみた。 あいかわらずバッサリ切られっぱなしなのだが、途中この著者が風車にのぞむ「ドンキホーテ」の姿に重なり、なにもここまでトンがらなくても、と思わず笑ってしまった。取り巻く状況はほぼ変わらないのに、私は今、さほど苦しんでいないのだ。

これは私の精神が良くなったという事か、悪くなったという事か。

かなり、ゴツンガツンくる本である。 それでも、あなたがもし今、生きづらくて、すごく落ち込んでいるのなら、一度この本を読む事を薦める。

決して癒してはくれないが、妙に再び、闘う勇気が湧いてくるから。

2010.11.15
追分 めぐみ
 
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